今の日本は保育士の採用が非常に難しい状態です。

保育士の有効求人倍率 は2020年1月で3.86倍となっており、数字で見るだけでもいかに人材確保が難しいかがうかがえます。

厚生労働省の取り組みによって、待機児童数は減りつつあり改善方向に向かっていると言えますが、依然として保育士が不足しているのが実情です。

保育士が採用できないと、待機児童などの深刻な社会問題も改善されませんし、園の運営や存続にもかかわります。

こちらの記事では、保育士採用の難しさと、保育士を採用するにはどうしたらよいのかを紹介します。

保育士の採用は難しい

今は保育士が取り合いとなるほどに、保育士の採用は難しくなっているのが現実です。

働くママの増加により保育園の需要は高まっています。

待機児童問題を解消させるために保育園が新設されるなどの対策もとられており、保育士の足りない状況が続いているのです。

保育士が足りない

現在、保育の現場に保育士が足りていません。

厚生労働省の調査によると、平成29年度末時点で約6.9万人の保育士が不足している状況となっています。

  • 需要:必要とされる保育士は約46.3万人
  • 供給:保育所における保育士の数は推計約37.8万人及び自然増加分を差し引くと
  • 結果:約6.9万人の保育士が不足している状況

参考:厚生労働省 保育士確保プラン

しかし実際のところ、保育士がいないのかといえばそうではなく、保育士登録者数は約120万人以上もいるとされています。

実際に働いている人は

保育士登録者数約120万人に対して40万人ほどとなっています

保育士資格を持っているにもかかわらず、保育士としての仕事をしていない貴重な人材が約70万人以上もいます。

貴重な潜在保育士

保育士の資格を持っているのに、保育の現場で働いていない人を潜在保育士といいます。

これらの人たちは、専業主婦をしていたり保育以外の仕事に就いている人たちです。

以前は保育士として働いていたのにもかかわらず、退職した人の理由としてトップに挙げられるのは、結婚や出産となっています。

近年一般企業では産休や育休制度が整ってきており、結婚や出産を経て職場復帰する女性が多い状況です。

それに対して、比較的小規模経営といえる保育園の場合、産休や育休後の職場復帰が難しいという背景もあります。

家庭や子育てとの両立が難しい理由

保育士の仕事は体力的にキツイ、責任が重すぎるなどと言った背景が考えられます

また結婚や出産とは関係なく同じ理由から、他の一般企業への転職を考える人もいます。

このため現場では保育士が不足しているのです。

保育園の需要は増えている

保育士が足りない反面、保育園の需要は増えているのです。

女性の就業率が高まり、共働き家庭が増加しているため、子どもを保育園へ通わせたい家庭が増えています。

厚生労働省の調べによると、2019年4月時点の待機児童数は16,772人で、前年比で見ると3,123人減っている状況です。

これは調査開始以来最少であり、改善方向に向かっていると言えます。

しかしながら待機児童解消のために新しく保育園が作られるなどもあって、保育士自体が慢性的に不足している状態です。

いまは保育士の取り合い

今は保育士の採用場面では、保育士の取り合いとなっています。

保育士には、次のような思いがあります。

  • 合わない職場なら辞めて他の保育園に移りたい
  • 今よりも給料や待遇のよい保育園で働きたい
  • 人間関係がよい園を探したい

保育士は、妥協することなくよりよい職場を探しているのです。

保育園側が保育士から選別される状態で、保育士は売り手市場となっています。

保育園で働かない理由|条件・人間関係・教育方針他

保育士の資格を持ちながらも、保育士として保育園で働くことを希望していない人が約半数います。

なぜなのでしょうか。理由としては以下の点が挙げられます。

  • 責任の重さや事故への不安
  • モンスターペアレントなど保護者との関係が苦痛
  • 教育体制や研修体制への不満
  • 給与が業務内容と見合わない
  • 休暇が少ない・休暇が取りにくい
  • 職場の人間関係
  • 自身の健康・体力への不安
  • 家庭や子育てとの両立がむずかしい

おもな項目を見て行きましょう。

責任の重さや事故への不安

保育士の仕事は、他の職業と比べると責任の重い場合があります。

保育士の仕事内容は、児童の教育をしたりお世話をするだけではありません。

子どもの命を預かる仕事になります。

保育園は、比較的女性が多い、しかも年齢の若い女性が多い職場となりますが、命を預かるには責任が重すぎると感じる場合もあるのではないでしょうか。

お昼寝時の突然死や、お散歩中に不慮の事故にあってしまうなど、万が一のことが起こった場合には、責任を重く感じてしまうのは致し方ありません。

これは他の職業よりも重くのしかかる問題だと言えます。

モンスターペアレントなど保護者との関係が苦痛

若い保育士にとっては、保護者との関係も難しい問題です。

子どもが好きで保育士になった人は多いと思いますが、保育士は子ども相手だけではなく、保護者とのコミュニケーションも取らなければなりません。

意外に負担が大きい事象

教育の現場では、少なからずモンスターペアレントの問題が常に発生します。

園長なり上の職員が責任をもって対処してくれればよいですが、

現場の保育士に直接風当たりが来てしまう場合は、精神的にまいってしまう人もいるようです。

教育体制や研修体制への不満

上記のようなリスクに対する回避の仕方や対処法等の、教育体制や研修体制が整っていない保育園が多いのも現状です。

そのため、保育士個人への負担が大きくなってしまいます。

給与が業務内容と見合わない

賃金が希望と合わないと感じる保育士が多いのも事実です。

体力的にも精神的にもハードな職業ですが、それに見合う報酬がもらえないと感じる場合には他の職業への転職を考えるのも無理はありません。

休暇が少ない・休暇が取りにくい

休日出勤が多かったり、残業が多いという点もあります。

現場に人手が足りないために、休日出勤をしなければならないこともあるでしょう。

また季節のイベントの前にはその準備のために、通常の業務にプラスして仕事が増えてしまい残業せざるを得ない場合もあります。

職場の人間関係

職場における人間関係の難しさも挙げられるでしょう。

保育園は女性の多い職場であり、管理者の管理が行き届かないといじめやハラスメントにつながります。

現場の声をしっかり聞きましょう

管理者が率先してチームで働ける環境や人間関係を作ることが大切です。

上記のような理由から、資格は取得したものの、保育園への就職は望まないと考える人も多いのはうなずけます。

保育士として働かない理由はさまざまありますが、上記のような問題が解消された場合には、約6割以上の保育士が、保育士としての就業を希望しているというのも事実です。

労働環境が改善されれば、潜在保育士が保育の現場に戻って来てくれることは大いに期待できます。

人材不足の解消がこの業界の課題

保育業界の課題としては、人材不足の解消となります。

国も保育士不足の問題に対しては、対策を取っています。

厚生労働省【保育士確保集中取組キャンペーン】

前述した70万人以上とも言われる、貴重な潜在保育士を保育園に呼び戻すための取り組みが行われています。

平成31年から、厚生労働省は【厚労省 保育士確保集中取組キャンペーン 】を行っています。

厚生労働省は、待機児童の解消を目指して「子育て安心プラン」により2020年度末までに約32万人分の保育の受け皿を確保することを目標としています。

【子育て安心プラン】

2018~2020(平成30~令和2年)年度までの3か年計画。

  • 待機児童の解消
  • 女性の就業率8割

子育て安心プランを推進させるために、約7.7万人分の保育人材の確保が必要となっています。

保育士の有効求人倍率(2020)は

保育園等を増やすには、保育の担い手である保育士の確保が必要です。

近年、保育士の有効求人倍率は高い傾向にあって、2020年1月で3.86倍となっています。

グラフ【保育士の有効求人倍率の推移(全国)

(出典)一般職業紹介状況(職業安定業務統計)(厚生労働省)

保育士不足改善に向けた内容とは

厚生労働省は、「保育士確保集中取組キャンペーン」を実施することによって、保育士不足の改善に取り組んでいます。

キャンペーンの内容としては、保育士の処遇改善策に関するPR活動や、保育士資格を持っているのに保育士として働いていない人への呼びかけの強化など、集中的に保育士の就業促進をはかっています。

具体的な内容は以下の通りです。

  • 民間の保育園で働く保育士の給与を、2013年からの取り組みで月額合計4万円程度アップさせるなどの給与改善
  • 職場復帰に不安のある人を対象に、保育実技研修などを行って職場復帰をサポート
  • 職場復帰支援策として就職準備金を40万円まで貸付けや、未就学児がいる場合の保育料の一部貸付け
  • 保育園の働く環境改善、保育士が働きやすい職場づくりの推進

中小規模の保育園に人材紹介会社は不利?

保育士を採用したい場合に人材紹介会社を利用するという方法は、比較的小規模経営の保育園にはあまりメリットがありません。

紹介がまわってこないうえに、紹介手数料が高くつくなどのデメリットがあります。

紹介会社から紹介されない時は問題点を改善する

人材紹介会社に依頼しているにもかかわらず、紹介会社から人材の紹介が来ないのは「保育士がいない」からではなく、自分の園にメリットがないからなのかもしれません。

他の保育園と比べて紹介手数料が低い、すなわち保育士の年収が低いため、紹介会社としては人材を紹介するメリットがないととられている可能性もあるのです。

保育園側としての対策

保育士に就業してもらえるように、今抱えている問題点を出来る限り改善するよう努力することが必要となります。

そのため保育士の集まる園、保育士を紹介される園にするためには、以下のような改善ポイントがあります。

  • 待遇を改善する
  • 少しでも高い年収を提示する

などの対策を取り、紹介会社のメリットとなる点をアピールすることが必要となります。

人材紹介会社は成功報酬で紹介手数料が高すぎる

人材紹介会社を通すと、保育士の採用コストが非常に高額となる傾向です。

人材紹介会社を利用すると以下のような手順で、保育士を採用します。

  1. 企業に対して求人内容にマッチした人材を紹介する
  2. 面接を行う
  3. 内定を出す
  4. 就職が決まった時点で成果報酬を支払う

人材紹介会社は求職者の採用が決まると、年収の約20%~40%を紹介手数料として企業から受け取るシステムとなっています。

そのため、採用人数が増えると採用コストはどんどん高額となっていくのです。

人材紹介会社に保育士の紹介を依頼すると、「保育士が集まる園」と「そうでない園」があります。

なぜ差が生まれるのかというと

保育士の年収の高さによるもの。つまりは「紹介手数料」の高さです。

そのため保育士の年収が高ければ紹介手数料も高くなり、紹介会社側の売り上げも増えるわけです。

これらのメリットから、大規模な企業への紹介が集中するというカラクリになっています。

そのため、高い年収を出せない小規模な保育園のところへは、紹介の話しがほとんど回ってこないという実情があります。

採用コストを下げて就業条件を上げる採用手法

保育士を採用したい場合には、できるだけ採用コストを下げて、就業条件を上げることがポイントとなります。

人材紹介会社を利用する場合に最も有効なのは保育士の年収を上げることですが、経営上年収面での待遇改善が難しい場合には紹介会社に頼らない求人方法もあります。

保育園独自に求人サイトを作成して、求職中の保育士にとって魅力的な情報を提示しましょう。

年収などの待遇面以外で、改善できるポイントとして挙げられるのは、以下の点が考えられます

  • 人間関係
  • 教育方針
  • 体力面

求職者の中には、なにも高い年収を望む人ばかりではありません。

年収が高いあまりに仕事がきつすぎるのは避けたいとか、人間関係で苦労はしたくないという人もいます。

園としては保育士が働きやすい職場へと改善できる点を改善し、さらに採用コストがかからない方法を取り入れましょう。

インターネットを活用して紹介会社に頼らない求人を

紹介会社に頼ることのない求人には、以下の2点が考えられます。

  • 自社ホームページの採用ページで求人を募る
  • 無料求人サイトを上手に活用

これらを通して、園独自のアピールポイントを求職者に提示して情報を届けます。

求職者の反応を見ながら、改善していくこともできます。

求人サイトを外注して保育士採用を成功させましょう

求人サイトを活用すれば、自社の採用力を高めて、紹介会社に頼らずに保育士採用を成功させられます。

しかし、日々の保育園業務に追われ忙しい毎日を送っている場合には、ゆっくりとサイト作りに専念する時間がありません。

本業に専念するためにアウトソーシング

求人サイトは外注でプロに任せるというのも非常に有効な手段です。

もしも、求人サイトの作り方がわからない、自社のアピール方法がわからないという場合には、ぜひICHIGEKIまでお気軽にご相談ください。

関連記事:採用コストと平均相場、費用対効果を高める有効な手法を解説

参考サイト:厚生労働省ホームページ 保育人材確保のための「魅力ある職場づくり」に向けて

参考サイト:厚生労働省ホームページ 保育士確保

参考サイト:厚生労働省 保育士の有効求人倍率の推移